【専門外来】脂肪肝外来
(MASLD/MASHの精密診断)
「ただの脂肪肝」と放置していませんか? 肝硬変・肝がんへの進行リスクを専門医が評価します。
健康診断で「脂肪肝」と指摘されても、自覚症状がないために放置してしまっている方が少なくありません。しかし、脂肪肝はもはや単なる「食べ過ぎ・飲み過ぎ」の結果ではなく、気づかないうちに肝硬変や肝がんへと進行するリスクを秘めた病気であることが分かっています。
当院では、肝臓専門医が担当する「脂肪肝外来」を設け、最新の知見と先進機器による専門的な診療を提供しています。
脂肪肝の新しい国際名称「MASLD」と「MASH」について
脂肪肝は、高血圧・糖尿病・脂質異常症といった「代謝機能障害」と深く関連しています。現在、国際的には以下の名称が使われています。(2023年に従来のNAFLD/NASHから変更されました)
- MASLD(マッスルド/マッスルディー):代謝機能障害に関連する脂肪肝の総称。
- MASH(マッシュ):MASLDの中で、炎症を伴い、肝硬変や肝がんへ進行するリスクの高い状態。
重要なのは、ご自身の脂肪肝のリスクを正しく評価し、適切な対策を講じることです。
当院の「肝臓・胆のう・膵臓」診療 3つの特徴
診断が難しいとされる肝臓・胆のう・膵臓領域において、質の高い診断を提供するための当院の取り組みです。
特徴1:経験豊富な「肝臓専門医」「胆道指導医」による的確な診断
当院には、「肝臓専門医」と「胆道指導医」という、2つの高度な専門資格を併せ持つ医師が在籍しています。
特に、胆のう・胆管といった胆道疾患領域においては、大学病院などで高度な内視鏡診断・治療(ERCPやEUSなど)に関する豊富な経験を有しています。
脂肪肝から、ウイルス性肝炎、胆石症、膵炎、そして早期発見が鍵となるがんまで、専門的な知見に基づき的確に診断します。地域の「かかりつけ専門医」として一人ひとりに最適な治療方針をご提案し、必要に応じて速やかに高次医療機関やがん専門機関への橋渡し(ご紹介)も行います。
特徴2:先進機器による「体への負担が少ない精密検査」
「沈黙の臓器」のわずかな異変を捉えるため、当院では診断精度を高める先進的な検査機器を導入しています。
Point 1:【高性能 超音波診断装置】Canon製「Aplio me」
キヤノンメディカルシステムズ社のクリニック向け最上位モデルである「Aplio me」を導入しています。優れた画像処理技術により、微細な血流やごく小さな病変も鮮明に描き出すことが可能です。初期の肝臓がんや発見が難しいとされる膵臓がんなどの早期発見に貢献します。また、組織の硬さを評価する「エラストグラフィ」機能も搭載しています。
Point 2:【非侵襲的肝評価装置】痛みなく肝臓の健康度がわかる「エラストグラフィ」「超音波減衰法」
これまで肝臓の硬さ(線維化)を正確に調べるには、入院して体に針を刺す「肝生検」が必要な場合がありました。当院が導入した「Aplio me」は、体の外から特殊な振動を当てるだけで、痛みや体への負担を伴わずに、肝臓の「硬さ(線維化の進行度)」と「脂肪量」を同時に、かつ正確に数値化できる先進の検査機器です。わずか10分程度の検査で、肝臓の状態を客観的に評価することが可能です。(詳細は後述の「脂肪肝外来」をご覧ください)
特徴3:経験豊富な検査技師による「迅速な検査体制」
当院には、腹部超音波検査(エコー検査)を専門とする経験豊富な臨床検査技師が平日常駐しています。
医師が診察で詳しい検査が必要と判断した場合、可能な限りその日のうちに腹部超音波検査や肝硬度・肝脂肪量測定を受けていただける体制を目指しています(※)。
「検査のために後日改めて来院する」といった患者様のご負担を減らし、診断から治療方針の決定までを迅速に行います。東武東上線「成増駅」徒歩1分、有楽町線「地下鉄成増駅」徒歩2分の立地ですので、お忙しい方も安心してご相談ください。
(※)当日の飲食状況や検査の混雑状況によっては、即日検査が難しい場合もございます。
当院の脂肪肝外来の診療フロー
肝臓専門医が、先進機器を用いて精密な評価を行い、患者様一人ひとりに合わせた具体的な改善プランをご提案します。
Step1問診・血液検査
生活習慣(飲酒歴、運動習慣、食生活)や既往歴(糖尿病、高血圧など)を詳しくお伺いします。血液検査では、肝機能の数値だけでなく、線維化マーカーや脂質、血糖値などを総合的に評価します。
Step2「エラストグラフィ」「超音波減衰法」による肝臓の見える化(痛みなし)
先進の検査機器「Aplio me」を用いて、肝臓の状態を数値化します。
- 肝臓の硬さ(線維化の進行度):MASHや肝硬変のリスクを評価します。
- 肝臓の脂肪量:脂肪肝の程度を客観的に評価します。
この検査は痛みを伴わず、10分程度で終了します。検査結果は数値とレポートで分かりやすくご説明します。
Step3高性能超音波(エコー)検査による詳細な観察
Canon製のクリニック向け高性能超音波診断装置「Aplio me」を用いて、肝臓の形態、血流、そして肝がんの兆候がないかを詳細に観察します。
Step4専門医による診断と治療方針のご提案
検査結果に基づき、肝臓専門医が現在の状態を判断します。その上で、食事療法や運動療法に関する具体的なアドバイスを行い、必要に応じて薬物療法(糖尿病治療薬の一部など、脂肪肝への効果が期待できる薬剤を含む)をご提案します。
定期的なフォローアップを通じて、肝臓の状態が改善しているかを数値で確認しながら、無理なく治療を継続できるようサポートいたします。必要に応じて専属の管理栄養士と相談し自身の食生活を見直しましょう。